睡眠不足による肌あれ原因解明!角層の“バスケットウィーブ構造”ケアと細胞間脂質にカギ

スキンケアの基礎知識

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寝不足の日の朝、メイクをしていると肌の不調を実感してしまうこと、ありませんか?

肌がこわばって、朝のスキンケアをしても吸収してくれず、メイク乗りも悪い。なんだか顔がシワシワ萎んでくすんで見え、調子のよい日のふっくら感(自分比)がない・・・。

睡眠時間をたっぷりとった方がいいのは分かっていても、そうはいかない時期だってある。子育てや仕事に忙しい女性ならなおさら。

そんな中、ポーラ・オルビスグループのポーラ化成工業株式会社が、睡眠不足による肌あれの原因を解明し、睡眠不足の肌を健やかに導くスキンケア製剤を発見したそうです!

新発見
1 睡眠不足により、肌のバリア機能*1 に必要な角層(角質層)のバスケットウィーブ構造が損なわれる
2 特定の条件をもつスキンケア製剤が、バスケットウィーブ構造の形成を促進できる

*1:体内の水分が外に逃げるのを防ぐのと同時に、雑菌や乾燥などの外部刺激から肌を守る機能

すごーく簡単に言うと、まず、寝不足の日の朝、肌の状態がどうなっているのかを解明。そして、寝不足の肌を元気にする製剤を発見した!ということですね。

睡眠不足による肌あれに悩む女性は多いと思いますが、これまで因果関係が解明されていませんでした。しかし、その原因が解明され、 DECENCIA からコスメも発売される予定!

そう。だからこそ、このブログでもご紹介しようと思った話なのです。

秋に発売されるというコスメを心待ちにしつつ、睡眠不足による肌あれの原因についてご紹介しますね。予習です!

角層(角質層)の “バスケットウィーブ” 構造にカギがあった!

角層のバスケットウィーブ構造は肌のバリア機能に必要
それでは頑張ってご紹介します。

上の図1のように、理想的な角層は上下の角層細胞同士が離れて「バスケットウィーブ*1」構造をとっています。

そして、角層細胞同士が離れてできた空間があると、その空間がセラミドなどの細胞間脂質で満たされ、高いバリア機能*2 を発揮します。

要するに、肌のバリア機能を高めるためには、角層の「バスケットウィーブ」構造が必要であるということ。

で、このような「バスケットウィーブ」構造をとるためには、角層細胞同士を接着させている「コルネオデスモゾーム」というタンパク質が分解されることが必要なんだそうです。

 *1 バスケットウィーブ構造とは

組織学的な方法により観察すると、カゴの目のように見えるため「バスケットウィーブ」構造と呼ばれる。

 *2 肌の「バリア機能」とは

肌の構造

肌表面ある 0.02mm の角層(角質層)が乾燥や外部刺激から肌を守る役割のこと。

乾燥・紫外線・雑菌・ほこりなどの外部刺激から肌や体を守り、肌の水分が必要以上に蒸散するのを防いでくれます。バリア機能が働いていれば、外からの刺激から守るだけでなく肌の水分量も保たれるということ。

このバリア機能は、肌がうるおっている状態で機能します。そして、肌のうるおいは以下の「3大保湿因子」によって維持されています。

3大保湿因子

1 皮脂膜 肌の一番外側を覆って水分の蒸発を防ぐ
2 天然保湿因子(NMF) 角質細胞内にあって水分を保持する
3 角質細胞間脂質(セラミドなど) 角質層の細胞と細胞のすき間を埋めて水分の蒸発を防ぐ

今回の話は、このうち 3と密接に関わっています。

睡眠不足で角層のバスケットウィーブ構造が損なわれる

ここに、睡眠不足の肌がなぜ荒れるのかを知るための実験があります。

20~40代の男女17名を対象に、8時間以上の睡眠をとった日の朝と、3時間以下しか睡眠をとっていない日の朝に、テープストリップ法で表面の角層細胞を採取し、角層の「コルネオデスモゾーム」の量を比較する実験を行っています。

先ほども書きましたが、「コルネオデスモゾーム」は角層細胞同士を接着させているタンパク質。これが分解されなければバスケットウィーブ構造が進みません。

「コルネオデスモゾーム」の構成タンパクであるデスモグレイン1を、組織化学的に染色する方法によって「コルネオデスモゾーム」を可視化したのが下の図。

睡眠不足により、角層のバスケットウィーブ構造が損なわれる

この図は「コルネオデスモゾーム」の量が少ないほど、「バスケットウィーブ」構造の形成が進んでいることを意味しています。

比較の結果、睡眠不足の日は「コルネオデスモゾーム」の分解が進まず、バスケットウィーブ構造がしっかり作られていないことがわかります。

このことから、角層の「バスケットウィーブ」構造の形成が不十分であることが、睡眠不足による肌あれの原因と考えられるというワケ。

睡眠の量と、角層コルネオデスモゾームの関係

また、上の図で緑色に光っていた「コルネオデスモゾーム」の輝度を定量化し、グラフに示したのが下の図。

睡眠の量と角層コルネオデスモゾームの分解の関係
睡眠不足の日の角層には、分解されずに残っている「コルネオデスモゾーム」が多いことがわかります。

バスケットウィーブ構造形成を促進するスキンケア製剤が開発された!

バスケットウィーブ構造の形成を促進するスキンケア製剤を開発

そして、このブログ的にはここからが大事な話なんですが、睡眠不足による肌あれを再現した三次元培養皮膚モデルを用いて、「バスケットウィーブ」構造の形成を助ける製剤の条件を調べた結果、以下のことが分かりました。

バスケットウィーブ構造形成促進のカギ

1 水の中に油滴が分散している水中油 (O/W)剤型であること
2 水相(W)にラメラと呼ばれる規則的な構造をもつこと
3 粉体を適量含むこと

これら3つの条件がそろった製剤を塗布すると、なんと、上の図3のように「バスケットウィーブ」構造の形成が進み、角層細胞間は細胞間脂質で満たされることが確認されのです!

きたきたー!

条件を満たすと、バスケットウィーブ構造の隙間が細胞間脂質で満たされる

条件を満たすスキンケア製剤塗布によるバスケットウィーブ構造内の細胞間脂質
この図5は、今回の実験で分かった3つの条件を満たさない製剤と、3つの条件を満たす製剤を塗布した、三次元皮膚モデルの角層を透過型電子顕微鏡で観察したもの。

その結果、3つの条件を満たす製剤を塗布した角層では、「バスケットウィーブ」構造の隙間が細胞間脂質で満たされていることが確認されました。

逆に、条件を満たしていない製剤の場合は脂質が満ちていません。

ということは、睡眠不足でバスケットウィーブ構造が損なわれた肌にいくら化粧品を塗っても角層間にしっかり吸収しないということですよね。
寝不足の日の朝、慌ててスキンケアをしてもふっくら感が蘇らないのはこの辺に理由があるのかもしれません。

そして、セラミドなどの細胞間脂質で満たされているということは、バリア機能も高まっていることを意味します。

バリア機能が高まれば、外部刺激から肌や体が守られ、肌の水分が必要以上に蒸散するのを防いでくれるため、肌の水分量も保たれます。

睡眠不足に負けないコスメは今秋発売!

いよいよ睡眠不足が続くときに活躍してくれそうな化粧品が登場ですね。この気になるコスメは、ポーラ・オルビスグループの DECENCIA から、今秋発売される予定です。

シリーズで出るのか、はたまた美容液などの単品で出るのか、具体的なところはまだ発表されていません。プレスリリースされたら、ぜひまたこのブログでご紹介したいと思います。

お楽しみに!

葉月 敬子

▪ AEAJ認定 アロマテラピーアドバイザー ▪ JAMHA メディカルハーブコーディネーター ▪ AEAJ認定 環境カオリスタ ▪ 社団法人 日本アロマ環...

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